2019年5月28日 火曜日 (雨)室温25°湿度60%



探検系の本、角幡雄介著「極夜行」

極地探検家の著者が四年の準備期間をかけ
太陽の昇らない冬の北極圏を80日間ソリをひき歩いた探検記で
この作品は2018年の本屋大賞ノンフィクション大賞を受賞してる。
著者の本は何冊が読んだ事があり久しぶりかなぁと思いつつ読み進めると
まず結婚しお子さんも生まれたとあり、そのせいか文体がかなり変わってたのに驚いた。
今までだと冒険の歴史に強いこだわりがあって現在と過去の歴史の二元中継ってのが定番、
どちからと言えば堅い文章だったのがユーモアや比喩が増え口語調と言うのか格段に読みやすくなってる。
極夜と言う闇が人にあたえる精神的影響ってのが一つのテーマで
これは少なからず僕も同感する部分があり冬の間、平日の山は行きも帰りもヘッドライトとなり
これが実は結構精神的に堪えるもので
週末の朝登ると明るいだけで気持ちが軽くなるのが分かり、もうそれだけで楽しくて仕方ない。
その究極が極夜明けと思われ想像を絶する歓喜があるんだろうなぁと。
あと脱システムも著者のこだわりの一つで現代ではもはや地図上に未開の地などはないため
ならばGPSや衛生電話などを使わない事で過去初めてその冒険を成し得た人達と同じ体験をし
同じ風景を見ようと言うもの。
これもちょっと分かると言うか何も遠くへ行かなくても自分の限界にさえ挑めば何か原始的な体験が出来る気もし
ただ問題は他人から見るとそれって所詮自己満足なわけで
今作は特に冒険への衝動があまり感じられず
難しくする、その点が目立ってる気もする。
それに結局今回は衛生電話は持ってちゃって娘さんに電話しちゃうシーンまであり
なんだ硬派なふりして結構可愛いとこあるじゃないのと思ってみたり

だんだん日も長くなり僕もやっと闇から開放されそう


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